プロデューサー・インタビュー/江並直美 デジタローグ



Q:アートディレクションのお仕事をずっとされてきた中で、従来のフィルムや印刷媒体から、デジタイズされたピクチャーみたいなものに手を広げていかれた、きっかけというのは何でしたか?

 それはごく自然な成り行きだったので、マルチメディアに参入して一発当ててやろうとか、そういうノリではなかったんですよ。それよりもコンピュータでデザインしていると、どうしてもモニタ画面でモノを見ているわけ。そうすると、どうすればこれをいい格好で世に出してあげられるのか?、という疑問が出てくるわけです。特に印刷用のデータというのは、精度を上げるためには350dpiくらいの解像度が要求されるから、データとしてかなり大きくなる。データが大きいとどうなるかというと、ハードディスクにも負担がかかるし、CPUも当時は遅かったので扱いにくい。そんな面倒くさいことはしたくないと、誰もが思ったわけですよ。でもそういうサイズにしないときれいに印刷されない。だけど画面で見るだけなら、比較的小さいデータでもじゅうぶん美しい。

 だから、どうやってそれをきれいに見せようかということで、ああでもない/こうでもないとやってたわけです。そのうち「これは画面で見た方が、逆にいいんじゃないの?」というような気持ちになったわけです。じゃあ、画面で見る写真というのはどういうことか? これはコンピュータがないと見れないわけです。コンピュータの画面でこのままデータを見せて、きれいだということが分かってもらえれば、僕らは全然楽だぞ……という気持ちになったわけです。そんなことを考えているうちに、CD-ROMというものがあると言われましてね。存在は知っていたけれど、それが少しずつ普及してるようだとか……そのときは騙されたんですけどね(笑)、当時は普及も何にもしてませんでしたから。

 それがちょっと面白そうだと思った頃、Hypercardのユーザークラブに「ジェイハム」というのがあって、そこのパワーユーザーの連中が、けっこううちの製作室に遊びに来たりしていたんです。で、彼らが2回目のマックワールド・ジャパンの時、ブースを出してCD-ROMを売ったら、5千円のタイトルが3〜4日で500本売れたっていうんですよ。5000円×500本だから単純計算で250万円。それで「あいつらが作ったのがそんなに売れるんだったら、僕らが作ればもっと売れるんじゃないか?」って思ったのが、うちでCD-ROMを出そうと思った最初のきっかけです。



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