プロデューサー・インタビュー/江並直美 デジタローグ



Q:基本的にはこちらで作られているCD-ROMというのは、アーティストの作品集というスタンスを取られているということですが、するとコンテンツというのはまさにそのアーティストの作品であり、それをいかに既成のCD-ROMというパッケージで見せていく、見せ方の創意工夫が必要ですよね。例えば五味さんのように、モチーフの写真をたまたまデジタイズして収録したらうまくパッケージ化できた例もあるかもしれませんが、逆に作品はいいのだけれどデジタルメディアとしては出しづらい、みたいな作家や作品というのもありますか?

 たぶんCD-ROMタイトルというのは2つの傾向があるんですよね。1つは既存に世の中に存在してるものをデジタイズして、この盤面の中に取り込んで再現するというもの。2つめは電子メディア上でしか存在しない作品です。とはいえ僕が言ってるのはゲームとかそういう概念じゃありません。コンピュータ・ゲームにしてもそれはボードゲームの延長線上にあるものであって、たしかに電子メディア上でしか存在しない側面はあるけれど、やっぱり従来の概念を引きずっているわけです。

 では、電子メディア上でしか存在しない作品というのは何かというと、うちらで出しているもので言えば前田ジョンの『Reactive Square』や『Flying Letters』みたいなインタラクティブ性をもった作品ですかね。そういうものは要するに「何だ、これは?」という、画面上でしか分からない魅力や驚きがある。その2系統があるわけですよ。

 デジタイズしてCD-ROMにする場合の作品の向き/不向きということでいうと、難しいですよね。作るだけ、パッケージングするだけなら大抵できますが、作品の向き/不向きっていうのは……まだ明確にはないんじゃないかな? まだそういう時点ですらないんじゃないですか? メディアそのものが始まって4〜5年ぐらいの実験中の段階で、まだヨチヨチ歩きのメディアだから、いいとか悪いとか、わからないところがまだまだあるんですよ。

 ただむしろ、僕は「見て感動したCD-ROM、涙が出たCD-ROMってありますか?」って訊きたいんですよ。するとそんなもの、まだないでしょう。だったらそれをまず作らなくてはいけないわけで、そのための実験を繰り返しているところはあります。昔から僕は文法ばかり作る作業は止めようって思ってましてね。文法を作るみたいな、型にはまったイメージよりも、まずはとにかく感動するタイトルを作りたい。CD-ROMで泣かしたろうか、っていう試みをやりたいんです。せっかくうちはギャラリーもあるわけですから、そういうものも活用したいし。



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