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モバイル上田の「のほほん陶芸日記」

『ああ、窯復活作戦!』その8

モバイル上田の「のほほん陶芸日記」 第194号

12月○日晴れ

 

細身のサンタさんは入れます。
煙突工事

『煙突』

北海道出身の人たちは、煙突を見ると田舎を思い出すのでしょうか?以前、北海道巡業に行った時、ほとんどの家に煙突があるのにはビックリしました。九州出身の陶芸師にとって、煙突のある家はケーキにのっているお菓子の家なんです。煙突ひとつで思い出す風景が人それぞれ違うんでしょうねえ。

さて、今回は民家の煙突でもお菓子の煙突でもありません、窯の煙突です。いよいよ煙突を作ることになりました。『作ることになりました。』と書きましたが、実は煙突はフレディーが作ってくれたんです。煙道と煙突はフレディーが担当してくれました。どちらも「きちっ」としている方が効率も良いでしょうし、安全だとも考えられます。それで両方ともフレディーに任せました。まあ、なんと言おうとも、僕にはそれらの作業をする時間が無かったのですが・・・。

『そんなバカな・・・』

最初、全てを耐火レンガで作ろうかと思っていました。がしかし、仕入れた耐火レンガが足りなくなったのです。そこで足りない分を信楽で調達しても良かったのですが、T本さんにお願いした値段よりもはるかに高いのです。これってちょっとくやしいでしょう?だから煙突の外側を『赤レンガ』がやってみようと考えたのです。早速N岡建材屋さんに電話で聞いてみました。『耐火レンガと同じ寸法やろか?』すると『はい、同じ寸法です。』という返事だったので、200個近くを建材屋さんで仕入れたんです。こっちの方がはるかに安いし、煙突の外側だとそれほど温度も高くないので問題ありませんからね。我ながら『素晴らしい考え』だと思いました。

がしかし、人生そう甘くありませんでした。『すっごくかわいい妹なんだ!』って言葉でホイホイ出掛けて行き、会ってビックリ!みたいなもんです。煙突を組み始めたフレディーが『耐火レンガと寸法が違います!』と言いだしたんです。えっ?同じって電話で言っていたやんか、、、、。あの応対は、何?暗い過去を思い出すぜぃ。

『まっ、ええか?』

実際に比べてみると、確かに寸法が違います。赤レンガの方が小さいのです。う〜ん、、、困りました。最初に考えた組み方が出来ません。仕方ないので、内側を耐火レンガ、外側を赤レンガで組み、同じ高さになったところで噛み合わせるようにしました。赤レンガを返品して耐火レンガを仕入れても良かったのですが、建材屋さんのおっちゃんの笑顔があんまり良かったので、『まっ、ええか。』って気持ちになったのです。はははは、人間、間違いはあるのだ!

と言うわけで、フレディーはやっかいな組み方を見事にやってくれました。正直言って、彼が居なかったら、あれだけ「きちっ」とした煙突は存在していないと思います。・・・・ここまで断言できる自分が悲しい?

丁寧でしょ?
約2名作業中?

『床』

さて、煙突工事をフレディーに任せた陶芸師は、窯の床工事をしました。この窯を作った場所は、粘土質じゃなく小さい石の集まりみないな場所なんです。ちょっと変な表現だったかもしれませんが、花崗岩が風化したばかりの土地って感じなんです。だから粘土質ではなく、元々山だった場所は非常に硬いのですが、一度掘り返したような場所はバラバラバラバラと崩れるんです。そんな場所ですから、窯の床を昔の穴窯のような土の斜面にすることは非常に困難でした。ですから、同じような傾斜をショウジで作ることにしたんです。より安全で、同じような火の廻り方が考えられるように。

正直言って、この床工事は神経を使いました。ここで手抜きして窯詰めの調子が悪かったりしたら大変だし、安全面でも問題が生じます。だから、いつもの陶芸師からは考えられないくらいに(?)慎重に作業を進めたんです。

『丁寧な作業』

まず、最初の床の部分に敷いた耐火土で作った古い棚板は、入りにくいところはダイヤモンドカッターで切断して使いましたし、ガタが無いように下の土砂を調整しながら敷いて行きました。まあ、これくらいは『当たり前』なんでしょうが、普段やらない人間にとっては大変なんです。

その後、斜面の部分は、ショウジをきっちりと水平にしながら組んでいきました。なんだかフレディーが乗り移っているような気分です。微妙な傾きが気になります。どうしたんでしょうか?出家したような気分です。

丁寧にしたつもりです!
完成した床部分

『レッツ窯詰め』

さて、無事に床も煙突も出来て、いよいよ窯詰めです。初めて詰めるわけですから、「決まり事」がありません。それまでの経験を活かして、より効率的に詰めるしかないのです。まず、棚の一番下の部分を空けることにしました。階段の上の段に小さいツク(棚板を組む時に立てる柱)を置き、下の段にちょうど水平になるような高さのツクを立てます。それに棚板を置いて1段目としたのです。この1段目の下には作品を詰めずに、火が走りやすいようにしたのです。火はなかなか下を走ってはくれず、どうしても天井の方を走ろうとするので、出来るだけ天井近くを詰めて、床の方は空けておく方がいいのです。この階段方式だと、それが楽に出来るのがありがたいですね。

『神経質?』

その上に長いツクを立てて、更に棚板を組みます。そうして棚を組んだ後、作品をその上に置くのです。その時、上段から詰めるようにします。下段から詰めると、その後上段を詰める時に何かを落したりしたら、下の作品までやられてしまいますからね。それに埃なんかも気になりますし。えっ?意外と神経質だって?窯詰めは神経を使う作業なんですよ。これによって火の廻り方が決まるし、色の出方にも影響するんです。陶芸師、時々は神経質なのだ。

ワクワク・・・
一番奥の棚組み

『さらに詰める』

そうやって奥から作品を詰めます。1列目が終ると次の列の棚を組み、先ほどと同じような作業をします。違うのは、一番奥は火が集まる(その奥に壁があって炎はサマ穴を通らなければならず、どうしてもそうなる。)ので、ちょっと作品を多めに詰めます。その方が、火が抜け過ぎなくて良いのです。2列目からは、一番奥ほどは詰めませんが、火が全体の作品に当たるように詰めます。その要領であと2列詰め、その後は薪の灰に埋もれるような部分を詰めます。この辺りは、焼きあがりがどうなるかわからない「ワクワク」する場所です。現在メインで使っている窯でも、毎回工夫をしながら詰める場所です。ちょっと冒険したり、マジックを使ったり。

ちょっとわざとらしい?
窯詰めの様子

『楽しい窯詰め』

今回は二の間もあるので、そちらも詰めなければなりません。登り窯の小さいひと間って感じです。焚く方向も違えば詰める方向も違います。そんなに沢山は入りませんが、ちょっと気分転換って感じでしょうか?「グリコのおまけ」が焼けるような場所なんです。今回は火前に生の大壷を入れ、奥にはヨンちゃんの茶碗も入れました。それにオヤジ殿の水指、茶入も入れたので、どんな『グリコ』が出てくるか楽しみなところになりました。

さて、無事に全ての場所に作品を詰めました。焼き物は焼いてこそ焼き物です。焼かなかったらタダの土。焼くというハードルを越えなければ結果が出てきません。思った以上の結果の時もあるし、そうでない時もあります。ありがたい部分でもあり、くやしい部分でもあります。でも、越えなければならないし、越える喜びも存在します。いざ、初窯なのです。

いよいよ、初窯のスタートラインに立ったところで、今年はここまで。

来年につづく。

いよいよ窯焚きだ!
窯詰め終了

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